ベアリング大手のSchaeffler(ヘアツォーゲンアウラハ)は傘下の自動車部品大手Continentalとの合併を先送りする意向だ。同社のユルゲン・ガイスラー社長は1日の決算発表で、「これまで提示してきた2011年末という(合併予定の)時期は可能性としての期日に過ぎない」と述べ、2012年以降に延期する考えを示唆した。Continentalサイドに合併への拒否感がくすぶるほか、合併を急ぐよりも債務返済に注力した方が得策という事情が背後にあるとみられる。
\SchaefflerはContinental買収に伴い巨額の債務を背負った。このため株式会社化と2社の経営統合を並行して進め、株式市場で資金を調達。財務を安定化させる考えだった。ただ景気回復を受け業績が急速に拡大しているため、債務を可能な限り自力で返済する方が得策との判断に傾いたもようだ。市場資金を得るために増資を行うとオーナー一族の出資比率が下がり、経営への影響力も低下する恐れがある。
\一方、敵対的な形で買収されたContinental内には合併を回避したいとの考えが根強いもよう。Schaefflerは合併までの期間を延ばすことでこうした反発を徐々に静め、同意を取り付けていく考えとみられる。
\Schaefflerが1日発表した2010年上半期決算の営業利益(EBITベース)は7億3,900万ユーロで、前年同期(1億8,000万ユーロ)の約7倍に拡大した。自動車部品事業が特に好調で全体をけん引。売上高は30.8%増の45億6,200万ユーロとなり、売上高営業利益率は3.1%から16.2%へと急上昇した。同社は今後も好業績が続くとみており、2010年通期の業績見通し(売上高80億ユーロ以上、同営業利益率10%以上)は「控えめな数値だ」(ガイスラー社長)としている。
\Schaefflerが決算を発表するのは今回が初めて。昨年8月に債務を借り換えた際、債権銀行団から事業の透明性向上を求められたことが背景にある。
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