欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2010/9/8

ゲシェフトフューラーの豆知識

解雇予告期間の計算ミス、被用者の提訴が遅ければ有効に

この記事の要約

ドイツでは解雇の通告から発効までの期間(解雇予告期間=Kuendigungsfrist=)が民法622条に定められている。その期間は勤続年数に応じて異なり、最も短い人で4週間、同20年以上の人では7カ月に上る。解雇発効日 […]

ドイツでは解雇の通告から発効までの期間(解雇予告期間=Kuendigungsfrist=)が民法622条に定められている。その期間は勤続年数に応じて異なり、最も短い人で4週間、同20年以上の人では7カ月に上る。解雇発効日は原則的に月末と定められているため、勤続20年の社員への解雇通告が月の初めになった場合、解雇予告期間は約8カ月に達する。

\

この予告期間の計算を誤り本来よりも短い期間を通告した雇用主は、通告を受けた被用者に提訴されると、裁判で負ける。では、解雇を言い渡された被用者が法律に定める提訴期間の終了後に裁判を起こした場合も、解雇は果して有効なのか無効なのだろうか。今回はこの問題に関し最高裁の連邦労働裁判所が1日に下した判決(5 AZR 700/09)を取り上げる。

\

裁判を起こしたのは2008年4月22日に解雇通知を受け取ったガソリンスタンドの元社員。

\

同社員は1995年8月1日付の採用のため勤続期間は12年に上った。この場合、法定の解雇予告期間は5カ月のため、解雇発効日は同年9月末日となる。だが、雇用主は2カ月前の7月末日付で解雇するという誤りを犯した。

\

これに対し解雇通告された男性は解雇の取り消しと8、9月の2か月分の給与支払いを求めて提訴した。ただ、裁判を起こしたのは11月で、解雇保護法(KSchG)4条に定める提訴期限(解雇通知の受け取りから3週間以内)はとうに過ぎていた。

\

この係争では、雇用主が解雇予告期間を短く設定しすぎるという誤りを犯し、原告も提訴期限を守らないという誤りを犯したわけで、どちらの誤りが致命的かが争点となった。

\

結論を先に書くと、敗訴したのは原告の元社員である。判決理由で連邦労裁の裁判官は、解雇無効を求める訴訟を解雇通知の受領後3週間以内に起こさないと解雇は有効となるとしたKschG7条の規定を指摘。このルールは解雇予告期間を誤って設定した場合にも適用されるとの判断を示した。

\
企業情報
経済産業情報
COMPANY |
CATEGORY |
KEYWORDS |