大型エンジン大手の独Tognum(フリードリヒスハーフェン)は9日、中国の兵器大手Norinco(中国北方工業公司)と共同で現地に合弁会社を設立することで合意したと発表した。北京の西およそ300キロにある大同で大型高速ディーゼルエンジンと原子力発電向け非常用ディーゼル発電機を組み立てる。Tognumはアジア事業を強化しており、今回の合弁をテコに同事業を加速させる意向だ。
\合弁会社はTognumの子会社MTU Asia Pte. Ltd.とNorinco傘下のShanxi Diesel Engine Industry Corporation (SDEIC)が設立する。SDEICは1986年からMTUのエンジンをライセンス生産してきた実績があるという。
\大型高速ディーゼルエンジンは中国海軍と海上警備当局の船舶向けに製造する。また、非常用ディーゼル発電機はMTU、Norincoに仏Arevaを加えたコンソーシアムが現地の原発向けに供給していく。中国政府はエネルギー需要を賄うために原発100基を建設する計画のため、Tognumは大きな商機を期待している。
\Tognumは中国事業を特に重視しており、2006年には蘇州にエンジン工場を設置、07年にも上海にアジア事業の統括拠点を設立した。
\Norincoは人民解放軍の兵器工廠を統合して1980年に設立された軍需企業で、民生分野にも進出している。日本の経済産業省は同社を外国ユーザーリスト(輸出物や技術が大量破壊兵器の開発などに用いられるおそれのある国外企業や組織)に指定している。
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