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2010/9/15

経済産業情報

薬局の処方薬販売、割引は少額なら「可」=最高裁

この記事の要約

患者の自己負担額が法律で固定されている処方薬の販売にあたり、薬局が商品券のプレゼントなどで実質的な割引を行うことの是非をめぐる係争で連邦司法裁判所(BGH、最高裁)は9日、「小額であれば認められる」との判断を示した。ただ […]

患者の自己負担額が法律で固定されている処方薬の販売にあたり、薬局が商品券のプレゼントなどで実質的な割引を行うことの是非をめぐる係争で連邦司法裁判所(BGH、最高裁)は9日、「小額であれば認められる」との判断を示した。ただ、額については「1ユーロならよいが、5ユーロでは明らかに不当な値引きにあたる」との見方を提示するにとどめ、金額の厳密な規定は避けた。

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今回の判決は薬局が行う処方薬の割引をめぐる6件の係争をまとめたもので、商品券・地域通貨などの提供や診察料(3カ月ごとに10ユーロ)の肩代わりに対し競合相手の薬局や競争監視団体が異議を申し立てていた。

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BGHの裁判官は、負担額固定の目的は◇全国一律の価格を保証することで患者が(過疎地などの)地理的条件による不利を被らない◇顧客(患者)が薬局から不当な影響を受けないこと――にあるとの考えを示したうえで、表示価格以外の価格で販売するか、金券などの物品を供与するかを問わず値引きは原則としてできないと指摘した。ただ、値引きが競争上の問題になるのは値引きによって競合が「著しく不利になった場合」に限るとして、わずかな額の割引やおまけであればそうした弊害は起きないとの判断を提示した。

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また、国外のネット薬局がドイツの顧客向けに行っている値引きについてはBGHと連邦社会裁判所(最高裁)で相反する判決が出ているとして、各最高裁判所の代表者で構成される合同法廷(Gemeinsamer Senat)に判断をゆだねた。

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