電機・自動車などの金属業界で高齢の従業員数が増加している。金属雇用者団体ゲザムトメタルの調査によると、業界就労者全体に占める50~64歳の割合は2000年の19%から2009年には27%へと上昇。特に60歳以上は2%から4%へと倍増した。高齢社員の増加は中小企業で目立つという。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が13日付で報じた。
\金属業界で社会保険への加入が義務づけられた就労者の数は2000~2009年の10年間で1%減少し、約350万人となった。一方、60~64歳の被用者数はこの間に8万5,000人から14万1,000人へと65%も増加している。背景には、労働環境の向上や生産技術の進歩で高齢者が働きやすくなったことがあるという。
\ゲザムトメタルのウルリッヒ・ブロッカー事務局長は今回の調査結果を受け、「67歳からの公的年金の支給開始を標準とすべき」との考えを明らかにした。現在65歳の支給開始年齢は2006年の年金制度改革を受け、2012年から29年までに段階的に67歳へと引き上げられる予定。労働組合や中道左派の社会民主党(SPD)は「高齢まで働く人はほとんどいない」と引き上げに反対しているが、同事務局長は「労組やSPDが利用しているデータは古く、実際は高齢者の就労率は上昇している」と反論した。
\フライブルク大学のベルント・ラッフェルフュッシェン教授(財政学)の試算よると、「67歳からの年金支給」が撤回された場合、年金支給額は2050年までに最大で900億ユーロ膨らむ見通し。年金保険料を2030年までに最大1%引き上げる、または年金支給額を2050年までに段階的に計7%引き下げない限り、財政負担は国内総生産(GDP)の15%に達すると警告している。
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