電機大手の独Siemens(ミュンヘン)が取引先に対する支払いを意図的に遅らせているもようだ。『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』紙が15日付で報じたもので、請求書を受け取ってから支払うまでの期間が半年に及ぶケースもあるという。コスト削減の取り組みが背景にあるとみられる。
\ドイツでは支払期間が30日に設定されることが多いる。一方、Siemensは納入業者に対し最低60日を要求、90日のケースも少なくない。しかも実際に支払うのは4カ月後から半年後と極めて遅いため、財務力の弱い中小企業は特に苦しい資金繰りを余儀なくされているという。
\支払い遅延は上からの命令で行われているもようで、取引先企業の関係者はFAZ紙に対し「Siemensの社員自身が恥じ入っている」と語った。社内には「支払いがあまりにも遅いため、業を煮やした納入業者が一度設置したコーヒーの自動販売機を持ち帰ってしまった」との噂も流れているようだ。
\Siemensの広報担当者は同紙の問い合わせに対し、取引先との関係では責任と公正さを重視しており、発注から支払いまでの手続きは規則に従って処理していると回答。問題点があれば処理手続きが遅れるのは当然であり、支払い規則は一切、変更していないとの立場を示した。
\Siemensは2009年初頭、主要3部門(産業、エネルギー、医療機器)の調達業務を可能な限り一元化する方針を発表。十億ユーロ単位の大がかりなコスト削減に乗り出した。これが支払い遅延につながっていると取引先やFAZ紙はみている。
\