ドイツの薬剤費支出動向をまとめた『医薬品処方レポート(2009年版)』が14日、発表された。それによると、2009年の国内薬剤費支出(メーカー製剤のみ)は285億ユーロで、前年に比べて18億ユーロ(6.8%)増加。高額な特許薬や改良型医薬品(ゾロ新)の処方が増えたほか、処方件数も拡大したことで支出が押し上げられた。既存薬とほとんど効果の変わらない新薬を処方せず、後発医薬品の利用を促進するなどの取り組みを徹底すれば、医療の質を落とさずに薬剤費を41億ユーロ節約できたとしている。
\医療費全体に占める薬剤費の割合は19%で、入院治療費(34%)に次いで高かった。外来診療費は17%、歯科治療は7%、その他は23%だった。
\処方件数に占める後発医薬品の割合は前年比1.5ポイント増の70%と、国際的にみて高い水準となった。一方、売上高ベースでは同比率が0.9ポイント減の35.9%にとどまっており、件数の少ない特許薬が薬剤支出を押し上げていることが分かる。
\レポートではまた、ドイツの薬価が周辺諸国に比べて高いことが指摘された。最も売上高の多い薬剤50種を対象にスウェーデンの薬価と比較したところ、特許薬は平均で1.5倍、後発医薬品では2倍の高さだった。特に後発医薬品はばらつきが大きく、スウェーデンの5倍以上の製品もあったという。
\レポート作成を担当したハイデルベルク大学のシュヴァーベ元教授は、「もしドイツの薬価がスウェーデン並みなら、我々は薬剤費を94億ユーロ削減できた」と述べ、ドイツでの販売価格を高めに設定する製薬会社の姿勢を強く批判した。これに対し製薬会社側は、スウェーデンの薬価には付加価値税が含まれていないほか、最終価格に対するメーカーの取り分がドイツでは低いと指摘。条件が全く異なるものを無理やり同列に扱っており比較は無意味だと反論した。
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