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2010/9/22

経済産業情報

葉脈をセラミックに、独研究所が新技法開発

この記事の要約

葉脈組織をセラミックの一種であるセメンタイト(鉄カーバイド)に簡単に変換する技術を、マックス・プランク・コロイド界面研究所(MPIKG)のツォーエ・シュネップ博士を中心とする研究チームが開発した。葉脈を酢酸鉄に浸して乾燥 […]

葉脈組織をセラミックの一種であるセメンタイト(鉄カーバイド)に簡単に変換する技術を、マックス・プランク・コロイド界面研究所(MPIKG)のツォーエ・シュネップ博士を中心とする研究チームが開発した。葉脈を酢酸鉄に浸して乾燥させた後、高温の窒素ガスを噴射して加熱するというもので、葉脈組織の繊細で複雑な構造がそのまま保たれる。研究チームは装飾用のほか、フィルターや触媒の金型(モールド)など産業分野への応用も可能と期待を寄せている。

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セメンタイト(Fe3C)は非常に硬くて脆く、腐食しにくい。また、導電性があり、常温では強磁性を示す。

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MPIKGのチームが開発した手法では葉脈を酢酸鉄に浸し40度の室内で乾かしてから、700度の窒素ガスで加熱するという手順を踏む。加熱によって酢酸鉄は一旦酸化鉄に変化した後、葉脈の炭素(C)と結合してセメンタイトに還元される。実験ではゴムノキの葉を用いたが、シュネップ博士は「原理的には炭素を含む全ての天然繊維を利用できる」と話す。

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同研究の成果は『Angewandte Chemie』(国際版、2010年第122巻37号)に掲載された。

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