被用者が病気で休業する場合、雇用主は最大6週間、賃金・給与を払い続けなければならない。これを「病休時の賃金継続支給義務(ドイツ語ではLohnfortzahlung im Krankheitsfallなどと表現)」と言う。支給額を賃金・給与額よりも減らすことは現行法では認められておらず、賃金が1日当たり150ユーロであれば、150ユーロを支給しなければならない。
\一方、ストライキで勤務が行われない場合は緊急的な業務(Notdienst)に携わる職員を除き、被用者には賃金を請求する権利がない。これはストに参加しない被用者にも当てはまる。
\では、被用者がスト期間中に病気で働けない状態となった場合(就労不能証明書を医師が発行した場合)、病休時の賃金継続支給義務はどうなるのだろうか。今回はこの問題をめぐる係争を取り上げる。
\裁判を起こしたのは乗り合いバスの運転手。2009年2月に勤務先で期間1日の警告ストが実施された当日、病気のため勤務ができない状態となった。
\勤務先でこの日、業務に携わったのは顧客の問い合わせなどに対応するサービス部門の職員のみで、運転手の仕事はなかった。このため雇用主は原告を含む運転手の2月の給与を1日分カットした。
\原告はこれに対し、病気でなければ顧客向けホットラインサービスなどの業務を行えたと主張。スト当日の給与支払いを求めて裁判を起こした。
\一方、雇用主は運転手である原告を電話対応業務につかせることは労働契約上できないと反論。原告を投入できる業務がなかったことを理由に、病休時の賃金継続支給義務はないとの立場を示した。
\ニュルンベルク州労働裁判所は7月に下した判決(5 Sa 666/09)で雇用主の主張を全面的に支持。スト期間中に病欠した被用者が賃金継続支給を要求できるのは、仮に病気でなければ行うべき仕事があった場合に限られるとの判断を示した。
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