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2010/9/29

経済産業情報

プリンターへの著作権料賦課、憲法裁が審理差し戻し

この記事の要約

プリンターとプロッター(大判プリンター)に対する著作権料賦課の是非をめぐる裁判で、連邦憲法裁判所(BVerfG)はこのほど、著作権保護団体に対し製造元が著作権料を支払う義務はないとする連邦司法裁判所(BGH、最高裁)の判 […]

プリンターとプロッター(大判プリンター)に対する著作権料賦課の是非をめぐる裁判で、連邦憲法裁判所(BVerfG)はこのほど、著作権保護団体に対し製造元が著作権料を支払う義務はないとする連邦司法裁判所(BGH、最高裁)の判決を破棄した。EU法との関連で欧州司法裁判所(ECJ)に判断を仰ぐ必要があると指摘したほか、著作権が基本法(憲法)に規定する所有権に当たるかが解明されていないとして、BGHに審理のやり直しを命じた(訴訟番号:1 BvR 1631/08)。

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作家やジャーナリストの著作権を管理するVG Wortは、プリンターが著作物の複製に利用されているとして、性能に応じた著作権料の支払いをプリンターメーカーに要求したが、今回の案件ではヒューレット・パッカード(HP)が支払いに応じなかったため裁判となった。最終審のBGHが支払い義務はないとの判断(訴訟番号:I ZR 94/05)を示したことから、これを不服とするVG Wortが違憲訴訟を起こしていた。

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BVerfGの裁判官は今回の判決で、当該案件はEUの著作権指令に関わる問題であるにもかかわらず、BGHの判決文からは欧州司法裁の判断に照らして審理を行った形跡が全くみられないと指摘。BGHに対しECJの判断を仰いだうえで、VG Wortへの著作権料支払いが法的に適切であるかを判断するよう命じた。

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