鉄鋼業界の労使は9月30日、賃金を3.6%引き上げることで妥結した。今回の合意は経済危機の終了後に主要産業で初めて結ばれたもので、今後、他の業界の指標となりそうだ。労使はこのほか、派遣社員に対し正社員と同額の賃金を支給することでも合意した。協定期間は今年10月1日~来年10月末までの13カ月間で、今年9月についても一時金150ユーロが支給される。
\派遣社員と正社員の賃金を同額にすることは金属労組のIGメタルが要求した。派遣社員の賃金が低いと好況時でも正社員の雇用数が増えにくくなるという事情があり、同労組はこれを阻止するために同額賃金を強く求めていた。鉄鋼業界の賃金は現在、正社員が月2,600ユーロ程度(支給額ベース)で、派遣社員はこれを約20%下回っている。
\派遣社員の数は業界全体で3,000人と少ないうえ、すでに正社員と同等の賃金を支給されている者も多い。このため今回の合意は鉄鋼メーカーの大きな負担とはならない見通し。ただ派遣社員が多い他の業界では賃金格差の是正を求める動きが波及することに経営者が神経をとがらしている。
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