欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2010/10/6

経済産業情報

CO2を排出しないエタノール燃料電池を開発

この記事の要約

チューリヒ工科大学とイタリア学術会議(CNR)の研究チームが、反応(発電)の過程で二酸化炭素(CO2)を全く排出しない新しいタイプのエタノール燃料電池を開発した。「有機金属燃料電池」(OMFC)と名付けられた同システムは […]

チューリヒ工科大学とイタリア学術会議(CNR)の研究チームが、反応(発電)の過程で二酸化炭素(CO2)を全く排出しない新しいタイプのエタノール燃料電池を開発した。「有機金属燃料電池」(OMFC)と名付けられた同システムは、遷移元素の1つであるロジウム(Rh)の分子複合体を陽極触媒に用いるのが特徴で、アルコールだけでなくグルコースなどの糖類でも発電できるという。

\

チューリヒ工科大などが開発したOMFCは、炭素粉(担体)の表面にロジウムの分子複合体微粒子を析出させたものを陽極触媒に使用する。電極触媒は、自らは変化せず電極上で起こる電気化学反応を促進するというのが「常識」だが、OMFCでは触媒の構造が化学反応のステップに応じて変化し、いわば「1つの分子複合体からいくつもの触媒が出来上がる」ことも確認された。また、OMFCはさまざまな溶剤と混和するため、小さな面積の表面にも極めて精密に分子を分散させられる利点があるという。

\

今回の実験では、水で薄めたエタノールを電力源として使用。エタノールはアセトアルデヒドを経て最終的に酢酸に変化した。研究チームは、担体や触媒の分子構造を変えることで、将来的には特定の種類のアルコール(糖類)を別の有機材料に変換することも可能と、技術のさらなる開発に意欲をみせている。研究成果は『Angewandte Chemie』(2010年、第122巻40号)に掲載された。

\