独大手銀行の今年上半期の利益は大幅に拡大した。景気の急回復で貸倒引当金の計上額が半減したことが大きい。会計監査大手のアーンスト&ヤング(E&Y)が欧州連合(EU)の財務査定(ストレステスト)に参加した独銀行大手14行の上半期決算を調査し明らかにした。
\同調査によると、14行の今年上半期の最終利益は計43億ユーロとなり前年同期の4倍に拡大した。貸倒引当金の計上額は12行で減少。14行全体でも44億ユーロに半減した。
\ただ、各銀行の収益の差は大きく、最大手のドイツ銀行と2位コメルツ銀行の最終利益は14行全体の9割以上を占めた。ドイツ銀行は前年同期から7億ユーロ増の29億ユーロに拡大、コメルツ銀は16億ユーロの赤字から11億ユーロの黒字に返り咲いた。一方、6行は減益となり、バーデン・ヴュルテンベルク州立銀行(LBBW)と北ドイツの州立銀行HSH Nordbank、ストレステストで唯一不合格となった不動産金融のヒポ・リアル・エステート(HRE)は赤字となっている。
\銀行の本業であるリテール業務は回復が遅れている。純利息収入は7行で増加したものの、平均では3%減少。手数料収入は10行で増加し、平均で3%増となった。時価総額はユーロ危機が響き、11行で減少。全体では6割減の31億ユーロに縮小している。
\中核自己資本比率は14行のうち8行で改善し、平均9.3%から10.1%に上昇。ノルトライン・ヴェストファーレン州立銀行(WestLB)の改善幅が最も大きく、4.4%から10.1%に上昇した。
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