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2010/10/6

ゲシェフトフューラーの豆知識

試用期間の延長、適切な理由があれば可能

この記事の要約

新入社員を採用する際に雇用主は通常、試用期間を設定する。試用期間中であれば理由のいかんを問わず雇用契約を解除できるが、期間を過ぎると解雇のハードルが高くなるという事情があるためだ。ドイツでは6カ月とすることが多い。では、 […]

新入社員を採用する際に雇用主は通常、試用期間を設定する。試用期間中であれば理由のいかんを問わず雇用契約を解除できるが、期間を過ぎると解雇のハードルが高くなるという事情があるためだ。ドイツでは6カ月とすることが多い。では、試用期間中に新入社員の適性や能力を見極められない場合、期間を延長することはできるのであろうか。今回はこの問題に関する係争を取り上げる。

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裁判を起こしたのは荷物受取・コピー機係として2007年1月15日付で警察署に採用された重度の障害者。雇用契約では6カ月の試用期間中に問題がなければ、本採用することが取り決められていた。

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だが、原告は注意力欠如症候群(ADD)を患っており、荷物の受取業務を適切にこなすことができなかった。このため被告の警察署は障害者社会統合局にかけ合い原告の仕事を補佐するアシスタント2人を同年7月24日~翌年1月14日のおよそ6カ月間、派遣してもらった。また、原告との雇用契約を労使の同意に基づいて解除したうえで07年6月14日~08年14日の6カ月間の有期雇用契約に切り替え、試用期間を延長した。

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この措置により原告が荷物の受取業務をこなせるようになれば、正規雇用への道が開けたのだが、改善の形跡がみられなかったため、被告は有期契約の終了を以て雇用関係を解除した。

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一方原告は、試用期間を延長したのは不当だと批判。本採用を求めて提訴した。

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これに対し最高裁の連邦労働裁判所は今年6月、原告の訴えを棄却する判決(訴訟番号:7 AZR 85/09)を下した。判決理由で裁判官は、試用目的で雇用契約に期限を設けることを認めたパートタイム・有期労働契約法(TzBfG)14条1項5の規定を指摘。試用期間の長さについては法的な規定がなく、雇用主は適切な理由があれば同期間を延長できるとの判断を示した。

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