二酸化炭素(CO2)の分離・貯留(CCS)技術の導入と利用に関する法案の成立が遅れている。連邦環境省と経済省は現在、政府が今夏にまとめた法案を審議しているものの、予定通り年内に内容が確定するかどうかは不明。政府案はCCS事業を試験プロジェクトに限定したが、連邦環境省・経済省の協議はさらにCCS施設の土地所有者に異議申し立てや提訴を認めるなど規制強化の方向に進んでおり、ドイツ国内で大規模なCCS事業を行うことはほぼ不可能になる恐れがある。独経済紙『ハンデルスブラット』紙が11日付で報じた。
\国内ではRWEやバッテンフォールなど電力大手がすでにCCS技術を利用したパイロット施設の建設を開始している。両社とも二酸化炭素(CO2)の排出量が多い褐炭や石炭発電の割合が高く、CCS技術を利用したCO2排出削減は急務の課題だ。
\バッテンフォールは現在、東部ブランデンブルク州で小規模なCO2分離施設を運転している。さらに2015年までに発電能力300メガワットのデモ施設を建設し、分離・貯留実験を開始する予定。投資規模は15億ユーロで、欧州連合(EU)が1億8,000万ユーロを助成する。ただ、CCS法という法的枠組み整備されない限り、実現は難しい。
\CCS技術では特に、地下に貯留したCO2が大気中に放出される恐れがあることが難点となっている。前政権もCCS法案を提出したが、地下貯留施設の建設予定地で住民の反対が強いことを受けて棚上げにした経緯がある。
\今回の法案では土地所有者に異議申し立てや提訴の権利が認められる方向のため、プロジェクトの前提となる地質調査も実施できなくなる恐れがある。さらに、CO2貯留に適した地盤が多いニーダーザクセン州やシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州はCCS法の適用免除を求めており、法案成立には紆余曲折が予想されている。
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