電機大手の独Siemens(ミュンヘン)が大陸欧州と英ロンドンを結ぶ鉄道運営会社Eurostar(ロンドン)から高速鉄道車両「Velaro」10編成を仮受注した。今後、最終調整を経て本契約を締結する見通し。Eurostarは7日ロンドンのハイドパークでVelaroの展示イベントを実施しており、Siemensの受注獲得はほぼ確実とみられる。
\Eurostarは仏国鉄SNCFとベルギー国鉄SNCB、英London Continental Railways(LCR)の3社が運営する合弁会社で、1994年からロンドとパリ/ブリュッセル間で高速鉄道を運行している。仏SNCFが55%を出資する関係で、これまではもっぱら仏重電大手AlstomがTGVをベースに開発した「Eurostar」車両を利用してきた。
\だが、2009年12月ユーロトンネル内での故障事故が相次いだことを受け、発注先の変更を検討。Alstomの競合であるSiemensに白羽の矢を立てた。仏政府はこの決定を阻止するためEurostarに圧力をかけたが、奏功しなかった。Eurostarのニコラス・ペトロヴィック社長によると、Siemensとの本契約は数週間以内に調印できる見通しという。
\契約が成立すると、Siemensは2014年からVelaroの納入を開始する。取引金額は推定6億ユーロ。EurostarはVelaroを将来的に、ロンドン~ケルン/フランクフルト間やロンドン~南仏/ジュネーブ間でも運行することを検討中だ。欧州金融の2大中心地であるロンドンとフランクフルトをおよそ5時間半で結ぶ路線の開設は意義が大きいと期待されている。
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