水洗金具の老舗メーカーHansa Metallwerke(シュツットガルト)は11日、オーナー一族が保有する同社株99.74%をスウェーデンの投資会社IK Investment Partnersが譲り受けることで合意したと発表した。Hansa Metallwerkeは経営不振とカルテル制裁金の影響で資金繰りが厳しくなっており、身売りを余儀なくされたもようだ。取引金額は非公開。『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』紙によると、同社の時価は債務を含めても1億ユーロを超えるという。
\Hansa Metallwerkeはハイエンド製品メーカーで、ドイツではGrohe、Hansgroheに次ぐ3位に付けている。かつては収益力の高い優良企業だったが、業界を取り巻く環境の悪化とオーナー一族内の不和が原因で経営が悪化。2007年以降は赤字が続いている。
\欧州連合(EU)の欧州委員会から今春、カルテル制裁金1,500万ユーロの支払いを命じられたことは追い打ちとなった。同社は欧州委命令に異議を唱えたものの、制裁金を仮納入しなければならなかったためだ。制裁金の納入資金を融資した銀行からは外部の投資家を同社に招き入れることを義務づけられたため、売却に踏み切ったとみられる。
\Hansa Metallwerkeは2008年から経営再建に取り組んでいる。その成果はようやく現れ始めており、今年1-6月期の営業損益(EBITベース)は430万ユーロの黒字へと転換した。経営を引き継ぐIKは今後2~3年間、同社の収益力を回復させることに注力する意向だ。事業の国際化をこれまで以上に推し進めるとしている。
\