政府系の再生可能エネルギー研究促進機関Denaによると、風力発電や太陽光発電の拡大に対応するため、ドイツでは今後10~15年の間に最大3,500キロメートルの高圧送電網を新設する必要がある。総工費は約60億ユーロに上る見通しだ。Denaが11月半ばに発表する送電網に関する報告書の草案をもとに6日付『南ドイツ新聞』が報じた。
\ドイツ政府は2020年までに電力源に占める再生可能エネルギーの割合を現在の16%から35%に倍増させることを目標に掲げている。このため、北部(北海、バルト海)の大型洋上風力発電所の建設を大々的に進める計画で、これらの風力電力を南部の人口密集地域に輸送する高圧送電網の拡張が不可欠となっている。人口が減少している東部で生産される電力を工業地帯や大都市が多い西部に送る送電網も必要だ。
\Denaは2005年に発表した前回の報告書で、新設すべき送電網の距離を850キロメートルと試算していたが、今回は政府目標を受けて同数値を最大3,500キロメートルへと大幅に引き上げた。既存の高圧送電網のうち7,000キロメートルに高温ケーブルなど最新技術を採用すれば、新設距離は1,600キロメートルへと大幅に縮小できるが、コストは最大130億ユーロに膨らむという。
\送電マストの建設に反対する住民の抵抗が強いため、これまでに新設された送電網は100キロメートル程度にとどまる。住民の要望に応じて地下にケーブルを敷設した場合、敷設コストは上昇し、最終的に消費者負担の増加につながる。
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