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2010/10/13

経済産業情報

書籍見本市、来場者減少も取引は活発

この記事の要約

世界最大の国際書籍見本市「フランクフルト・ブックフェア」が6~10日の5日間、開催された。期間中の来場者数は前年を3.8%下回る27万9,325人に減少したものの、出展者数は前年より3%上多い7,539社に拡大。また会場 […]

世界最大の国際書籍見本市「フランクフルト・ブックフェア」が6~10日の5日間、開催された。期間中の来場者数は前年を3.8%下回る27万9,325人に減少したものの、出展者数は前年より3%上多い7,539社に拡大。また会場内の取引も非常に活発で、金融・経済危機で大きな打撃を受けた英米の出展者が「過去数年で最大の成果」と評価するなど、景気回復にともない出版業界が先行きへの自信を取り戻していることが強く感じられた。

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今年の見本市でも関心は電子ブックや多機能タブレットPCに集中した。電子ブック取扱タイトル数で国内最大の書店Thaliaは、独自の電子ブックリーダー「Oyo」を発表。まずドイツ、オーストリア、スイスで今月28日から、画面サイズ6インチ、無線LAN対応のモデル(価格140ユーロ)を市場投入する。フランス、オランダ、ポーランドでも追って発売する予定だ。

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韓国サムスン電子はAndroid搭載タブレット端末「Galaxy Pad」を、台湾Aiptec Internationalは子ども向け絵本専用の電子ブック「Story Book in Color」を展示。また、電子辞書大手Ectacoは5カ国語対応の辞書機能付き電子ブック「Jetbook」を紹介した。

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独情報通信業界連盟(Bitkom)が世論調査機関Forsaと共同で実施したアンケート調査によると、年内に電子書籍の購入を検討しているドイツ人は300万人に上る。特に生徒・大学生で関心が高く、6人に1人が購入に関心を持っている。Bitkomが実施した別のインターネットアンケート調査では、全体の5人に1人が「印刷タイプの書籍は20年以内に電子ブックにとって代わられる」と回答するなど、電子ブックは将来性が高い。

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一方、実際の市場規模はまだ非常に小さく、国内で電子化されている書籍は4万タイトルにとどまる。また、電子ブックが急速に普及している米国と異なり、書籍売上全体に占める電子ブックのシェアは1%に過ぎず、「関心はあるものの実際の購入には慎重」なドイツ人の姿がうかがわれる。

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