2003年に「セックス税」を導入して話題となったケルン市が今月から通称「ベッド税」を導入し、またもや注目を浴びている。セックス税は風俗嬢から1日当たり6ユーロ、風俗店から床面積10平方メートル当たり同3ユーロを徴収するというもの、ベッド税は市内ホテルの宿泊者から料金の5%を徴収するというもの。ともにドイツ初で、市当局は進取の精神に富んでいるようだ。
\新種の税を導入するのは財政がひっ迫しているためで、ケルン市は「窮すれば通ず」を地で行っていると言える。たとえ「せこい」と笑われてもわが道を貫くその姿勢は称賛に値するかもしれない。市当局は今回導入したベッド税により税収が年2,150万ユーロ増えると試算している。
\この計算はしかし、皮算用に終わるかもしれない。そうした懸念を抱かせる事実が明らかになったからである。
\市当局がお金にあくせくするのと同じように、ホテルの重要な顧客であるドイツ企業もまた、けちけち根性の権化と化しているのだ。熾烈な国際競争にさらされることが背景にある。
\15日付『南ドイツ新聞』が報じたところによると、世界的な化学・製薬会社のバイエルは全社員に宛てたメールで、ケルン市に宿泊しないよう強く勧告。メールの文面には「出張でケルンに行く社員は今後、(近隣の)レバークーゼンやデュッセルドルフに宿を取って下さい」と書かれている。業務命令ではないとはいえ、ケルンに宿泊すれば出張課のチェックに引っかかる恐れがあり、同社の社員は今後、夜のケルンを迂回することになるだろう。
\コスト削減に取り組む他の大手企業にもこうした動きが広がると、税収見通しは大幅な下方修正を余儀なくされる。仮に大聖堂などの観光キャンペーンを強化しても、出張客の穴が埋まるとは考えにくい。
\ちなみのベッド税の導入を検討している都市はほかにもあり、ミュンヘンやハンブルクはケルン市に情報を問い合わせたとのことだ。全国の大都市が手を携えてベッド税を導入すれば、出張客は迂回先を失うため、ケルン市が損な役回りを演じることはなくなるかもしれない。
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