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2010/10/20

経済産業情報

世界最長の鉄道トンネルがスイスで貫通

この記事の要約

スイスのエルストフェルト(ウーリ州)とボディオ(ティチーノ州)を結ぶ鉄道トンネル「ゴッタルト基底トンネル」が15日の14時17分、貫通した。全長は56.7キロメートル(km)で、日本の青函トンネル(53.9km)を抜いて […]

スイスのエルストフェルト(ウーリ州)とボディオ(ティチーノ州)を結ぶ鉄道トンネル「ゴッタルト基底トンネル」が15日の14時17分、貫通した。全長は56.7キロメートル(km)で、日本の青函トンネル(53.9km)を抜いて世界最長。トンネルの開業は2017年初めを予定しており、開通によってチューリヒ-ミラノ間の走行時間はこれまでの4時間以上から2時間40分に短縮されるという。

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ゴッタルト基底トンネルは、アルプス山脈を南北に貫く新しい高速鉄道を建設するというスイスの国家プロジェクト(アルプトランジット計画)の一部で、北海と地中海を結ぶ重要な輸送ルートの1つとして位置づけられている。スイス運輸庁のペーター・フュークリスターラー長官によると、開通後は1日250本の貨物列車を通行させる計画で、2030年までの国際輸送需要をカバーできるという。

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欧州連合(EU)のシーム・カラス欧州委員(運輸担当)も同日、ルクセンブルクで開催中の運輸相理事会から祝電を送信。「極めて意義深いプロジェクトだ」と伝えてスイスの取り組みを高く称賛した。

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スイスの南北縦断ルートが着実に完成へと向かっている一方、周辺諸国では鉄道路線の整備が遅れ気味で、スイス側は苛立ちを強めている。ドイツはカールスルーエとバーゼルを結ぶライン地溝帯路線(Rheintalbahn)を2008年までに複々線化(あるいは三複線化)することでスイスと国家間協定を結んでいたが、『フランクフルター・アルゲマイネ』よると、これまでに完成したのは全長182kmのうち43.6kmの区間に過ぎない。このためスイスの議員団は「ドイツ側の工事が完成するまで、バーゼルから先はドイツのトラックを通行させず、全ての荷物を貨物列車に積み替えてもらう」としてドイツ側に圧力をかけている。

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