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2010/10/20

経済産業情報

BASFが有機金属構造体の量産化に成功

この記事の要約

化学大手の独BASFが錯体の一種である有機金属構造体(MOF)の量産技術を開発した。これまでに比べ簡単かつ高効率で製造できるようになったほか、従来の技法で必要だった有機溶媒を一切使用しないのが特徴。既存の製造プラントで対 […]

化学大手の独BASFが錯体の一種である有機金属構造体(MOF)の量産技術を開発した。これまでに比べ簡単かつ高効率で製造できるようになったほか、従来の技法で必要だった有機溶媒を一切使用しないのが特徴。既存の製造プラントで対応できるため新たな設備投資が不要というメリットもある。

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金属有機構造体(MOF:Metal Organic Frameworks)は金属クラスターと有機配位子の間で形成された多孔質の結晶構造を持つ錯体。活性炭やゼオライトをはるかに凌ぐ比表面積を持つことから、吸着分離用担体のほか、水素やメタンの吸蔵材料などへの応用が期待されており、世界で急速に研究が進んでいる。BASFによると、MOF1グラムの表面積はおおよそ5,000平方メートルで、MOFの生みの親であるカリフォルニア大学ロサンゼルス校のオマー・ヤギー教授がこのほど開発したMOF-210と呼ばれる新材料では1万平方メートルを超えるという。

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MOFでは物理吸着を利用してガスを貯蔵するため、従来のタンクのように高圧あるいは低温の状態で充填する必要がなく、取扱が手軽なことも大きな利点だ。

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BASFはMOFの量産が可能になったことで産業利用に弾みがつき、将来的には天然ガス車(LPG車)向け燃料貯蔵タンクへの応用などが進むと期待している。

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