フランクフルト国際空港で9日、大規模な災害救助訓練が実施された。今回の訓練では災害時の救急治療に欠かせないトリアージ(識別票)にRFID(ICタグ)を取り付けたトリアージタグ(トリアージICタグ)を初投入。従来の手書き式では災害発生から2時間以上かかることもあった最初の患者の搬送が30分に短縮されるなど、大きな効果が確認された。
\訓練は◇空港の滑走路で旅客機2機が衝突◇死者30人◇負傷者500人以上が滑走路上に倒れているか、歩きまわって助けを求めている――という設定で、これまでで最大規模となった。フランクフルトをはじめとするヘッセン州内の救急・消防隊員と警察官1,000人以上が事故発生の連絡を受けて現場に駆けつけるところからスタート。複数の警察・消防機関が救助作業に当たるなか、関係機関が相互に連携して負傷者を迅速に病院に搬送ことに重点が置かれた。
\今回の訓練で導入されたトリアージICタグシステムは、連邦教育研究省(BMBF)の支援を受けて開発された。仕組みは◇駆け付けた救助隊員が所持する携帯用コンピューター端末で被災者の画像を取り込み、けがの度合い、性別、およその年齢を入力する◇データは自動的にICタグに記録されるとともに、移動通信網を通して災害本部の中央サーバーに転送される◇トリアージ情報(赤=重症、黄=中度の傷、緑=軽傷)を表示したICタグを被災者の手首に取り付ける――というもの。
\ICタグを取り付けることで、災害本部が負傷者の現在地や搬送先、人数などをリアルタイムで把握できるうえ、受け入れ先の医療機関でも受け入れ態勢を素早く整えることができる。また、被災者の家族も搬入先の病院がすぐにわかるため、安否確認の時間や手間を大きく省ける。
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