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2010/10/27

経済産業情報

肥満を引き起こす酵素を発見

この記事の要約

ギーセン大学のトーマス・ヴァルター教授を中心とする合同研究チームが、中性エンドペプチダーゼ(NEP、別名ネプリライシン)が肥満に大きくかかわっていることを突き止めた。チームは今回の発見が新たな抗肥満薬の開発につながること […]

ギーセン大学のトーマス・ヴァルター教授を中心とする合同研究チームが、中性エンドペプチダーゼ(NEP、別名ネプリライシン)が肥満に大きくかかわっていることを突き止めた。チームは今回の発見が新たな抗肥満薬の開発につながることに期待を寄せている。

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肥満患者は先進国を中心に全世界で増加しており、深刻な社会問題となっている。食事療法や運動療法は患者本人の意思や性格に左右されるところが大きく、治療は非常に難しい。世界中の研究機関が抗肥満薬の発見にしのぎを削っているが、今のところ特効薬はないのが現状だ。

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ギーセン大学、ベルリン分子薬理学研究所(FMP)などのチームは、NEPが欠損したマウスは通常マウスに比べ食物の摂取量が多く、結果として体脂肪が過剰に蓄積され極度な肥満となることを確認。また、糖・脂質代謝異常やグルコース耐性の大幅な低下など、人間の肥満患者と共通の症状が見られた。

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一方、通常のマウスにNEP阻害薬としてカンドキサトリルを経口投与した場合もNEP欠損マウス同様に肥満と代謝異常が確認された。カンドキサトリルは中枢神経系には作用しないことから、肥満に関与するのは末梢神経系に存在するNEPのみで、中枢神経系に存在するNEPは関わっていない可能性が高いという。研究成果はPLoS ONE(オンライン版)で閲覧できる。

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