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2010/11/3

総合 - ドイツ経済ニュース

原発稼働期間延長、連邦議会が可決

この記事の要約

独連邦議会(下院)は10月28日、原発の稼働期間延長を柱とする原子力法改正案を与党3党の賛成多数で可決した。政府は同法案を州の代表で構成される連邦参議院(上院)の議決なしに成立させる方針。これに対し野党3党は、原発稼働延 […]

独連邦議会(下院)は10月28日、原発の稼働期間延長を柱とする原子力法改正案を与党3党の賛成多数で可決した。政府は同法案を州の代表で構成される連邦参議院(上院)の議決なしに成立させる方針。これに対し野党3党は、原発稼働延長には連邦参院の承認が必要だとして、違憲訴訟を起こす構えを見せている。また、最大野党・社会民主党(SPD)のガブリエル党首は、SPDが政権を取得した場合は稼働延長措置を白紙化する意向を明らかにした。

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ドイツでは2000年、中道左派のSPDと緑の党からなるシュレーダー政権が原発廃止政策を導入し、各原発の稼働期間を原則32年とすることが決まった。現行法では2022年頃までに国内の原発がすべて廃炉となる見通し。

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これに対し昨年秋に成立したキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と自由民主党(FDP)からなる中道右派の現政権は、原発は従来型の発電から再生可能発電体制への移行期間に必要な「つなぎのエネルギー」だとして、稼働期間の延長を打ち出した。政府が連邦議会の決議のみで稼働延長を実現しようとする背景には、連邦参議院で与党が過半数割れとなっていることがある。

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政府は今後40年間のエネルギー構想の一環として原発の稼働延長を打ち出した。国内17基のうち1980年までに設置された旧型炉で8年、81年以降の新型炉で14年延長する方針だ。

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