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2010/11/3

総合 - ドイツ経済ニュース

新租税協定に独とスイスが調印

この記事の要約

ドイツのショイブレ財務相とスイスのメルツ財務相は10月27日、ベルンで新租税協定に調印した。経済開発協力機構(OECD)の基準に従い脱税容疑者の情報交換を盛り込んだのが特徴で、スイスの銀行を利用してドイツ市民が脱税するこ […]

ドイツのショイブレ財務相とスイスのメルツ財務相は10月27日、ベルンで新租税協定に調印した。経済開発協力機構(OECD)の基準に従い脱税容疑者の情報交換を盛り込んだのが特徴で、スイスの銀行を利用してドイツ市民が脱税することはこれまでに比べ難しくなる見通しだ。両財務相はこのほか、脱税資金への課税などに関し両国が交渉を開始することでも合意した。

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スイスの法律では一般的な脱税(Steuerhinterzieung)と税務書類の改ざんを伴う雑税詐欺(Steuerbetrug)が区別され、前者については当局の口座情報開示要求を拒否する権利を銀行に認めている。このため同国は国外当局から脱税捜査への協力依頼があっても脱税詐欺に該当しなければ協力を拒否してきた。今後は書類改ざんを伴わない一般的な脱税であってもドイツの当局に協力する。ただ、ドイツ当局の捜査協力要請の根拠が薄弱な場合、スイスは協力を拒否できるため、捜査がとん挫するケースも出てくると予想されている。

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脱税資金への課税などに関し両国が今後行う交渉では、スイスの銀行を隠れ蓑にこれまで脱税してきたドイツ市民の隠し資産にドイツの税務当局がどのように課税するかを協議する。スイスの銀行に隠されているドイツ市民の試算は1,000億~3,000億ユーロと推定されており、交渉がまとまればドイツには巨額の税収が入る見通しだ。

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両国はまた、スイスの銀行に口座を持つドイツ市民が今後獲得するキャピタルゲインに対する課税についても協議する。交渉は来年初頭のスタートを予定している。

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