従来の紙製に代わる新型の国民IDカード(電子IDカード)の交付が1日、ドイツでスタートした。個人情報を記録した非接触型ICチップが内蔵されており、RFIDリーダーを用いることでオンラインバンキングや電子商取引、電子政府などの広い分野で本人確認の手段として利用できる。
\ICチップ付きの新型カードには、デジタル化された顔写真や生年月日などのデータのほか、任意で指紋も登録できる。オンラインサービスでの認証機能(eID機能)が利用できるのは16歳以上に限られる。IDカード発行時に同機能を有効化する場合、手数料はかからない。
\新カードはまた、電子署名認証(QES)にも対応している。ただ、カードの発行時にはQES機能は付いていないため、同サービスの利用希望者はカード取得後、連邦内務省が指定する電子署名認証サービス会社で手続きしたうえでデータをチップカードに登録してもらう必要がある。電子署名データの変更や抹消はカードを発行した自治体ではできないため、盗難・紛失の際には発行認証サービス会社にも利用停止を連絡しなければならない。
\自宅のパソコンからeID機能やQES機能を利用する場合は専用のRFIDリーダー端末が必要となる。これについては専門家から端末の安全性を懸念する声が出ている。端末には簡略型、標準型、デラックス型の3タイプがあり、このうち簡略型には専用のソフトやキーボード、ディスプレーがない。入力作業や内容確認は全てPCのキーボードやディスプレーで行うため、キーロガーなどのスパイウエアに感染したPCで操作すると暗証番号などが盗まれる恐れがある。このため専門家は簡略型でなく、標準型やデラックス型を購入するよう推奨している。
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