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2010/11/10

総合 - ドイツ経済ニュース

企業の研究開発費、13年ぶりに減少

この記事の要約

国際コンサルティング大手ブーズ・アンド・カンパニーが3日発表した企業の研究開発(R&D)投資に関する調査レポートによると、独企業のR&D投資額は昨年3.1%減少し、1997年来13年ぶりに後退した。世 […]

国際コンサルティング大手ブーズ・アンド・カンパニーが3日発表した企業の研究開発(R&D)投資に関する調査レポートによると、独企業のR&D投資額は昨年3.1%減少し、1997年来13年ぶりに後退した。世界不況を受け、歳出削減を余儀なくされたことが響いた。ただ、減少幅は日本(10.8%)や米国(3.8%)よりも小さく、世界平均の3.5%も下回っている。

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ブーズ・アンド・カンパニーはR&D投資額で世界の上位1,000社を対象に調査を実施した。それによると、独企業の投資額は計277億ドルで、前年の286億ドルから9億ドル減少。世界1,000社の総額(3,630億ユーロ)に占める割合は7.6%となった。独企業の売り上げが9.5%減少したため、売り上げに対するR&D費の比率はやや上昇した。

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R&D投資が世界的に減少するなかで、中国とインドは計41.8%増と大幅に拡大した。世界の同投資に占める両国の割合は1%と低いものの、その存在感は今後、研究開発分野でも高まりそうだ。

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ブーズ・アンド・カンパニーはドイツについては研究開発拠点としての競争力が依然として高いとしつつも、企業が独本国での投資を今後再び増やしていかないと、イノベーション力で中国やインド、米国に太刀打ちできなくなると指摘。政府に対し最先端分野における研究開発の規制緩和や税優遇策の実施を提言した。

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世界のR&D投資規模が最も大きい業界はIT・電機で、全体に占める割合は27%に達した。これに製薬が22%、自動車が15%で続く。自動車は環境技術などの分野で巨額の投資を必要としているものの、投資額は14.3%も後退した。唯一の例外は独フォルクスワーゲン(VW)で、前年比3.6%増の53億6,000万ドルへと拡大している。

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企業別の投資額では製薬大手のロシュが11.6%増の91億ドルへと伸ばし、トヨタ自動車を抜いて世界1位に躍り出た。トヨタは昨年の1位から4位に後退している。独企業ではVWの15位が最高。以下、シーメンス(16位)、ダイムラー(26位)、バイエル(29位)、BMW(32位)、SAP(54位)、コンチネンタル(62位)、メルク(65位)が続いた。

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