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2010/11/10

総合 - ドイツ経済ニュース

旧東独の核廃棄物、ロシアに移送の方向

この記事の要約

旧東ドイツの核廃棄物をロシアに移送する方向で、ドイツとロシアが交渉しているもようだ。9日付『南ドイツ新聞(SZ)』が政府関係者などへの取材をもとに報じたもので、交渉は今月中にもまとまる見通しという。\ 輸送対象となるのは […]

旧東ドイツの核廃棄物をロシアに移送する方向で、ドイツとロシアが交渉しているもようだ。9日付『南ドイツ新聞(SZ)』が政府関係者などへの取材をもとに報じたもので、交渉は今月中にもまとまる見通しという。

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輸送対象となるのはドレスデンのロッセンドルフ地区にあった原子力中央研究所(ZfK、現ドレスデン・ロッテンドルフ研究センター)で使用された核燃料で、現在は独西部のアーハウス中間貯蔵施設で管理されている。総量は951本。両国はこれをロシアのマヤーク再処理施設で再び核燃料へと加工し、ロシアの原子力発電所で利用する方向で協議を進めている。

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ZfKの核燃料廃棄物は当初、ドイツで最終貯蔵される予定だった。だが、ゴアレーベン最終貯蔵施設を建設するメドが立たないことから、ロシアに輸出する案が浮上したという。

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ロシアは旧ソ連が国外で実施した核研究の燃料廃棄物を回収することを米国との協定「ロシア研究炉燃料返却プログラム(RRRFR)」で取り決めており、ドイツはこの協定に基づきロシアへの移送を行う。すでにポーランド、ハンガリー、ウズベキスタン、ベトナム、チリなどは同プログラムの枠内で核燃料をロシアに輸送した。

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SZ紙によると、ZfKの廃棄物輸送はドイツとロシアの両国にメリットがある。ドイツは国内に保有する高レベル核廃棄物の量を減らせ、ロシアの原子力業界は核燃料を獲得できるためだ。これに対し、ドイツの環境政党・緑の党は「安全性よりも低コストを優先した」計画だと批判。ロシアの環境保護団体Ecodefenseも「マヤーク再処理施設の安全性は不十分だ」と懸念を表明している。

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