豪カンタス航空のエアバスA380型機とボーイング747型機でエンジントラブルなどが立て続けに起きことを受け、両エンジンを供給した英ロールスロイスが窮地に立たされている。5日には同社株が一時9%以上も下落したほか、独ルフトハンザでもA380型機で軽度のエンジントラブルがあったことが発覚するなど、問題は拡大の様相をみせている。
\カンタス航空のエアバスA380型機は4日、シンガポールからシドニーに向かう途中でエンジン1基が爆発したため、シンガポールに引き返し緊急着陸した。さらに翌5日には、同航空のシンガポール発シドニー行きボーイング747-400型機が飛行中にエンジントラブルを起こし、シンガポールへの引き返しを余儀なくされた。カンタス航空が事故を受けて安全点検を実施したところ、異なる2機のエンジンの計3カ所から「本来油が付着するはずのない箇所で油漏れが見つかった」としてA380機の運行を当面、見合わせる措置に踏み切った。ロールスロイスは当初、両機のトラブルに直接の関連性はないとの見解を示していたものの、8日夕方にはトラブルを起こした航空機に採用されている「Trent 900」エンジンに問題があることを認めざるを得なくなった。
\Trent 900エンジンが搭載されたA380型機は、独ルフトハンザとシンガポール航空でも導入されているが、両社は「点検の結果、異常は見つからなかった」として運行を継続している。
\ルフトハンザの広報担当が週末に明らかにしたところによると、東京発フランクフルト行のA380型機でエンジン4基のうち1基で8月に温度表示エラーが発生し、用心のため当該エンジンを停止した。点検の結果、特に異常は発見されなかったという。同社はまた、9月半ばにA380機のエンジン部から客室内にオイル臭が流入してきたため、抽気口を閉じて対処したとする『ビルト』紙の報道も追認した。オイル臭の原因は解明されていないものの、ルフトハンザ側は「技術的には全く問題のないトラブル」と強調する。エアバスの専門家は過去の点検時に付着したオイルが残っていたためではないかと推測している。
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