ドイツの小売業界が年末商戦に大きな期待をかけている。景気と雇用情勢の回復を背景に消費者の支出増が見込まれるためで、独小売業中央連盟(HDE)は11日、クリスマス商戦期(11~12月の2カ月間)の業界売上高が前年同期比2.5%増の769億ユーロとなり、2006年以来の高水準に達するとの予測を発表した。販売チャンネル別では専門店とネットショップが全体をけん引する見通しだ。
\クリスマス商戦期は商店の書き入れ時で、年間売上(自動車販売店を除く)に占める割合は例年およそ20%に上る。特に玩具、時計、民生家電などプレゼント人気の高い商品では小売店の年商に占める割合が約25~30%と高く、売れ筋商品の取り揃えが悪いと年間売上が大きく目減りすることになる。
\独調査会社ヴァリッド・リサーチがコンサルティング大手アーンスト・アンド・ヤング(E&Y)の委託で10月末に実施した消費者アンケート調査(成人2,000人に電話で聞き取り)によると、1人当たりのクリスマスプレゼント予算額は今年232ユーロとなり、昨年の226ユーロから6ユーロ増加。リーマンショックが起きた08年以降の最高を記録する。
\商品分野別の予算額が最も大きいのは商品券・現金で44ユーロに上った。これに衣類(26ユーロ)、書籍(23ユーロ)、玩具(21ユーロ)、民生家電(19ユーロ)、CD・DVD(15ユーロ)、化粧品(12ユーロ)、宝飾品(12ユーロ)、食品・菓子(12ユーロ)が続く。前年に比べ予算額が最も大きく伸びたのは民生家電で5ユーロ増加。商品券・現金も3ユーロ増と人気が高まっている。一方、化粧品は4ユーロ減と振るわず、玩具も2ユーロ低下した。
\年齢別では56~65歳のいわゆる「ベストエージャー」の予算が最高で、平均総額は278ユーロに上った。前年比でも51ユーロ増と増加幅がダントツで大きい。一方、35歳以下の若年層は前年の202ユーロから168ユーロへと大きく後退し、調査対象の全世代のなかで唯一、落ち込んだ。背景には派遣などの非正規雇用で働き景気回復の恩恵を受けていない者がこの年代に多いという事情があるようだ。
\ \専門店とネットショップが人気上昇
\ \予算配分を販売チャンネル別でみると、専門店が前年の108ユーロから132ユーロへと大きく増え、全体(232ユーロ)の半分以上を占めた。ネットショップも31ユーロから36ユーロへと増えている。これに対しデパート・ショッピングセンターは59ユーロから40ユーロへと大幅に低下、スーパー・ディスカウントスーパーも16ユーロから11ユーロへと下がった。
\E&Yの調査では購入に当たって品質や機能、オリジナリティ、環境保護などを重視するとの回答が増えており、これが詳細な商品情報を持つ専門店の人気につながった可能性がある。
\ネットショップでのクリスマスプレゼント購入に関してはハイテク業界団体Bitkomが14歳以上の消費者を対象とするアンケート調査(標本調査)の結果を発表した。これによると、インターネットでプレゼントを購入する人は約2,200万人に達し、昨年から57%増加。「ネットでの購入を決定していないものの関心はある」も1,700万人と多い。
\「ネットで購入する」が最も多いのは14~29歳で、同年代の44%が該当した。65歳以上のシニア層も14%と少なくない。商品別ではテレビゲーム、スマートフォン、パソコン、薄型テレビ、デジタルカメラを挙げる人が多かった。ネットショップ人気の背景にはレジで長い時間待つ必要がないほか、スマートフォンの普及でオンライン購入が容易になったという事情もあるようだ。
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