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2010/11/17

総合 - ドイツ経済ニュース

特許薬価格を交渉で決定へ、連邦議会が法案可決

この記事の要約

独連邦議会(下院)は11日、特許薬の価格取り決め法案(AMNOG)を与党の賛成多数で可決した。医療費の膨張抑制が狙いで、新薬の価格をメーカーが一方的に決定できるこれまでの方式を廃止して健保との交渉によって取り決める制度を […]

独連邦議会(下院)は11日、特許薬の価格取り決め法案(AMNOG)を与党の賛成多数で可決した。医療費の膨張抑制が狙いで、新薬の価格をメーカーが一方的に決定できるこれまでの方式を廃止して健保との交渉によって取り決める制度を導入する。法案は今後、連邦参議院(上院)で審議されるが、法案成立には上院の承認が不要のため、来年1月1日付の施行はほぼ確実の情勢だ。

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AMNOGでは販売許可の下りた新薬についてメーカーに臨床データの提出を義務づける。臨床データは第3者機関の「保健衛生制度における品質・経済性研究所」(IQWiG)が費用対効果を審査。既存薬より治療効果が高いと判断された新薬については、公的健保とメーカーが交渉を通じて薬価を決定する。ただ、発売から1年間はメーカーが自由に価格を設定できる。政府は同法案の施行により薬剤費を20億ユーロ圧縮できると見込む。

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一方、野党からは厳しい批判が出ている。社会民主党(SPD)は、新薬発売後2年目から薬価が交渉で引き下げられることを見越して、メーカーは初年度の価格を不当に高く設定する恐れがあると指摘。また、これまで健保や医師、病院などが自主制定していた新薬評価のガイドラインを連邦保健省の制定に改めることで公正性が損なわれるおそれがあると懸念を表明している。

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