同僚に暴言を吐いただけでは解雇理由にならかい。これについてはすでに多くの判決が出ている。では、会社の対外的な信用や業績の低下につながりかねない取引先への暴言の場合はどうなるのであろうか。今回はこの問題をシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労働裁判所が4月に下した判決(訴訟番号:4 Sa 474/09)に即してお伝えする。
\裁判を起こしたのは大手運送会社に2003年から勤務する運転手。09年3月24日に小売店に商品を輸送した際、小売店の職員から天井の低い駐車場に進入しないよう要求されて口論となった。その際、「俺はここにこれまで何年も、商品を運んできた。それなのにもう来るなと言うのか。クソッたれ」と小売店職員に暴言を吐いた。このため同小売店から敷地への出入りを6カ月間、禁止された。
\これを受け運送会社は同運転手を6月20日付で解雇した。労働契約には「社員は顧客に丁重に接しなければならない」と明記されており、この規定を根拠とした格好だ。原告がこれを不服として提訴したため、裁判となった。
\第1審のノイミュンスター労働裁判所は原告勝訴を言い渡し、第2審のシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労裁も1審判決を支持した。判決理由で同州労裁の裁判官は、原告が暴言を吐いたのが初めてであることや、トラブルが起きた小売店にこれまでは問題なく配達してきたことなどを踏まえ、解雇は過剰な処分だと指摘。警告が妥当だったとの判断を示した。
\判決文は10月に公開された。最高裁の連邦労働裁判所(BAG)への上告は認めていない。
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