退職した社員が自身の人事関連情報を開示するよう要求して元勤務先の保険会社を提訴していた係争で、最高裁の連邦労働裁判所(BAG)は16日、原告勝訴を言い渡した(訴訟番号:9 AZR 573/09)。判決理由で裁判官は、被用者の幸福や妥当な利害を考慮することを雇用主に義務づけた民法241条2項の規定を指摘。自己情報管理権(Recht auf infomationelle Selbstbestimmung)は被用者の重要な利害に当たるとの判断を示した。
\原告は2006年1月~07年6月の1年半、被告企業の損害調査部を統括していた元社員。雇用契約の終了後に人事担当者と面接した際、「(原告には)忠誠心が欠如していると推測させる根拠がある」と口頭で伝えられたため、情報開示を要求。会社側が雇用関係の終了を理由に拒否したため裁判を起こした。
\第1、2審は原告敗訴判決を下したものの、最終審の連邦労裁は逆転勝訴を言い渡した。裁判官は、すでに退職した企業であっても人事情報に誤りがないかどうかを吟味することは被用者の重要な利害に当たるとして、被告企業の主張を退けた。
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