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2010/12/1

総合 - ドイツ経済ニュース

2010年企業倒産2.5%減少、負債総額は半分以下に

この記事の要約

ドイツ企業の経営環境が明るさを増している。信用調査機関クレジットリフォームが11月29日に発表した企業倒産・新設レポートによると、2010年の倒産件数は前年比2.5%減の3万2,100件となり、3年ぶりに低下する見通しだ […]

ドイツ企業の経営環境が明るさを増している。信用調査機関クレジットリフォームが11月29日に発表した企業倒産・新設レポートによると、2010年の倒産件数は前年比2.5%減の3万2,100件となり、3年ぶりに低下する見通しだ(グラフ1を参照)。景気のV字回復や銀行融資の改善のほか、企業の体力が向上していることが背景にある。

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昨年の企業倒産件数は前年比11.3%増の3万2,930件と急拡大し、3年ぶりに3万件台の大台に乗った。アルカンドール(流通・旅行)やキマンダ(半導体)、シーサー(衣類)、メルクリン(鉄道模型)、ローゼンタール(陶磁器)などドイツを代表する大手企業の破たんが目立ったのも特徴だ。

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一方、今年は大型倒産が大幅に減少する。被用者数が1万人を超える企業の経営破たんは1件もなく、自動車部品大手Honselの3,000人が最大(表1を参照)。倒産で失われる雇用数は24万人で、昨年の52万1,000人から53.9%も減少する。負債総額も789億ユーロから55.1%減の354億ユーロへと低下する見通しだ。1件当たりの負債総額は193万7,000ユーロから78万5,000ユーロへと大幅に下がる。

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会社の規模別では就労者数100人以上の企業で倒産件数が大きく減少し、全体に占める割合は前年の1.1%から0.6%へと低下。就労者5人以下の小企業では同比率が77.2%から79.0%へと上昇する。

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部門別でみると、サービス業が3.6%増の1万7,670件に拡大するのを除き、他はすべて減少する。減少幅が最も大きいのは景気回復の恩恵を強く受ける製造業(15.8%減の2,830件)で、これに流通(7.7%減の6,630件)、建設(6.8%減の4,970件)が続く。

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個々の業種別では金属製造・加工の低下率が最大で、58.1%に達する。自動車(41.7%減)とゴム・樹脂(25.9%減)も改善幅が大きい。

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企業の体力はこの10年間で着実に向上した。クレジットリフォームによると、ドイツの中小企業に占める自己資本比率10%以下の会社の割合は2002年の41.2%をピークに減少傾向にあり、今年は31.0%まで低下する見通しだ。一方、自己資本比率が30%を超え財務力が安定している企業の割合は02年の16.6%から27.1%へと増加。10%以下の企業との差は02年の24.6ポイントから3.9ポイントに縮小する(グラフ2を参照)。ドイツ経済が現在好調な背景には、財務基盤改善に向けた長年にわたる企業の経営努力がある。

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