欧州自動車最大手Volkswagen(VW)のマルティン・ヴィンターコルン社長は11月29日に開催されたPorsche従業員集会の挨拶で、VWグループのスポーツ車と大型セダンの開発をPorscheが中心となって行うことを明らかにした。両車種の開発の主導権をめぐってはPorscheとAudiが火花を散らしてきたが、Porscheに軍配が上がった格好。30日に行われるPorscheの株主総会をにらんだ措置とみられている。
\PorscheとAudiはともに高級車、スポーツ車を手がけており、両社のモデルの多くは競合関係にある。VWグループは部品のモジュール・共通化を通してコストを削減しており、PorscheがVWグループに入ったことで、2社の権限調整が必要となっていた。Porscheに白羽の矢が当たったことで、Audiの旗艦モデル「A8」は将来的にPorscheの4ドアクーペ「Panamera」、スポーツクーペ「R8」もPorscheのスポーツ車と同一ベースで開発されることになる。
\30日のPorsche株主総会では60億ユーロの増資案が決議される。否決されるとVWとPorscheの経営統合計画が宙に浮く恐れもあるため、ヴィンターコルン社長はスポーツ車開発などの権限問題でPorsche株主に譲歩した可能性がある。
\Porscheは投機的な手法を用いてVWを買収しようとして失敗。巨額の債務を抱え込み、VWに経営統合されることになった。VWは経営統合に当たってPorscheの債務を大幅に圧縮したい考えで、Porscheの増資計画はそうした思惑から浮上した。
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