独6位の製薬会社Merz（フランクフルト）は11月25日の決算発表で、現在7億ユーロ弱の売上高を2015年6月期までに10億ユーロに拡大するとの計画を明らかにした。同社は主力のアルツハイマー治療薬「Memantine」の特許切れを数年後に控えており、新薬投入や事業拡大を通してその穴を相殺。増収につなげる意向だ。
\Memantineは同社売上の半分以上を占める稼ぎ頭で、2010年6月期は3億4,800万ユーロを記録した。ドイツ語圏以外の販売に伴うライセンス収入が2億4,400万ユーロと3分の2以上を占める。特許は欧州で2014年、米国で2015年に失効する。
\同薬に代わる稼ぎ頭の候補として最も期待されているのは耳鳴り治療薬「Tinnitus」だ。ただ、第3相臨床試験の結果が思わしくなかったため、同社は治験を改めて実施し、2012年までに販売許可を申請する考え。このほか、美容皮膚製品や処方箋不要の医薬品事業も強化し売り上げを拡大していく。Memantineの特許が切れる関係で、2016年6月期には売上高が再び10億ユーロを割り込むものの、2019年6月期からは恒常的に上回るようになると見込んでいる。
\2010年6月期決算の売上高は6億7,350万ユーロで、前年から14％増加した。主力の医薬品事業が19％増の5億5,160万ユーロと好調で、消費者向け製品事業（6％減の1億270万ユーロ）の不振を相殺した。税引き前利益は13％増の1億5,060万ユーロ、最終利益は19％増の1億630万ユーロだった。
\
