欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2010/12/1

ゲシェフトフューラーの豆知識

具体的根拠の乏しい解雇は無効

この記事の要約

被用者としての義務を果たしていないとして即時解雇された港湾労働者がその取り消しを求めて起こしていた係争で、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労働裁判所は10月26日、解雇無効の判決(訴訟番号:3 Sa 315/10)を言い […]

被用者としての義務を果たしていないとして即時解雇された港湾労働者がその取り消しを求めて起こしていた係争で、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労働裁判所は10月26日、解雇無効の判決(訴訟番号:3 Sa 315/10)を言い渡した。判決理由で裁判官は、解雇の際は理由を具体的に説明できなければならないと指摘。被告企業の主張は抽象的で根拠薄弱だとの判断を示した。

\

原告は勤続20年のベテランで、被告企業から(1)仕事のスピードが他の社員の半分と遅い(2)顧客企業のトラックに傷を付けたにもかかわらずその事実を申し出なかった――の2つを理由に即時解雇された。

\

裁判官は(1)について、仕事が遅いと主張するのであれば、標準的な仕事のスピードがどの程度で、原告の効率がどの程度であるかを証明する必要があると指摘。またスピードが遅いのが確かだとしても、病気などの理由で原告が持てる能力をフルに発揮できないといった可能性がないかどうかを吟味しなければならないとして、そうした検討を怠った場合は解雇理由にはならないとの判断を示した。

\

(2)に関してはトラックに損傷を与えたのが原告本人かどうかが証明されていないと指摘。こうした場合は損傷を見つけたにもかかわらず報告しなかったとの理由で警告することはできるが解雇はできないと言い渡した。

\