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2010/12/15

総合 - ドイツ経済ニュース

新たな宇宙開発戦略、「経済的有用性」に重点

この記事の要約

ドイツ政府はこのほど、経済技術省(BMWi)が提出した次期航空・宇宙開発戦略案を閣議了承した。これは2001年に策定したこれまでの戦略に代わるもので、航空・宇宙産業の発展や生活の質向上につながる新技術・製品の開発に重点が […]

ドイツ政府はこのほど、経済技術省(BMWi)が提出した次期航空・宇宙開発戦略案を閣議了承した。これは2001年に策定したこれまでの戦略に代わるもので、航空・宇宙産業の発展や生活の質向上につながる新技術・製品の開発に重点が置かれている。一方、学術分野については比重を大幅に引き下げ、コストのかかるプロジェクトは国際共同研究という形で進め、単独では実施しない。

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ドイツは航空宇宙開発の分野で日本、米国のほかインド、中国、韓国など新興勢との競争にさらされており、競争力の維持・強化という課題に直面している。政府はドイツが技術的に取り残されることのないよう、航空宇宙産業のなかでもカギとなる通信、全地球測位システム(GPS)、地球観測などの分野を重点的に支援。技術的な優位性を維持するとともに、新たな市場への進出を促す方針だ。

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一方、経済的・社会的利益に直結しない月探査ミッションや宇宙船開発といった事業は欧州全体や米国、日本などとの国際共同プロジェクトという形で実施する。ただ、これについても純粋な学術目的としてではなく、研究の成果が将来の経済的・社会的利益に結びつくかどうかを吟味したうえで実施の是非を決める。

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ドイツ航空宇宙センター(DLR)は長年、月探査ミッションの単独実現に向けて取り組んできた。今回の政府戦略で悲願の達成から一歩後退を余儀なくされた。8日には米航空宇宙局(NASA)と月探査研究に関する包括的提携で合意。月探査の共同実施に向け動き出した。

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