化学・製薬大手の独Bayer(レバークーゼン)は9日、アジア太平洋事業の強化戦略を打ち出した。2016年までに上海に約10億ユーロを投資、中国語圏市場の売上高を2015年までに2009年の21億ユーロから約50億ユーロへと拡大する計画だ。アジアが世界最大の成長センターとなっていることに対応する狙いで、ポリカーボネート事業の中核機能は独レバークーゼンから上海に移管する。
\従来計画では上海には2012年までに計21億ユーロを投資する予定だった。今回打ち出した措置により2016年までの総額は30億ユーロを超えることになる。
\新規投資額の半分以上は樹脂生産の強化に充てる方針。具体的にはポリウレタン原料であるMDIの生産能力を現在の年35万トンから100万トン、ポリカーボネートの生産能力も同10万トンから50万トンへと引き上げる。ともに既存工場拡張のほか、新工場の建設を通して実現する。塗料原料HDIについても生産能力を拡張する。
\ポリカーボネート事業本部を上海に移管するのは、アジア太平洋地域が同素材の世界最大の生産・消費地となっているなっているという事情があるため。同社は来年にも移管を開始し、顧客企業のニーズにきめ細かく速やかに対応できる経営体制を構築する意向だ。上海にあるポリカーボネート研究・開発センターについては風力発電・太陽光発電設備向けなど中国が強みを持つ分野に活動対象を絞り込む。
\欧州化学大手のアジア重視姿勢は鮮明で、独BASFは6日、アジア・太平洋市場の売り上げに占める現地生産の割合を09年の約60%から2020年には70%へと引き上げる方針を打ち出した。スイスのClariantは繊維用化学品事業の中核機能をシンガポールに移管する。
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