ダイヤモンド砥粒(とりゅう)でダイヤモンドを研磨する際、ダイヤモンドの最表面がガラス状炭素(アモルファスカーボン)に変換されることを、フラウンホーファー材料力学研究所(IWM)の研究チームがコンピューターシミュレーションで突き止めた。研磨しやすい「軟らかい面」と研磨しづらい「硬い面」の違いは、結晶の向きや研磨の方向によってアモルファスカーボンへの変換の進度(結合の切れやすさ)が異なるためだと説明している。
\ダイヤモンドは非常に硬く、工具などの研磨剤として広く使われるほか、ダイヤモンド砥粒をコーティングした研磨盤とすり合わせるという手法でダイヤモンド自身の研磨にも用いられている。ダイヤモンドの研磨では「硬い面」と「軟らかい面」があることや、特定の方向に研磨すると仕上がりが特に滑らかになることは経験的に知られていたが、その理由や、ダイヤでダイヤが研磨できる仕組みはこれまでほとんど解明されていなかった。
\IWMのラルス・パステフカ博士を中心とする研究チームはこの謎に迫るため、分子動力学法 (MD)と呼ばれる手法を用いてコンピューターシミュレーションを実施。ダイヤモンドがダイヤ砥粒に高速でこすられることで最表面の炭素の結合状態がダイヤモンド(sp3)からグラファイト(sp2)に変化し、sp2結合とsp3結合が混在したアモルファスカーボン層が形成されることを明らかにした。また、アモルファスカーボン層の成長のスピードは結晶の向きや研磨の方向に大きく左右されることもつきとめた。
\研究の成果は『Nature Materials』に掲載された。
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