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2010/12/15

経済産業情報

民間医療保険の販売手数料が高騰、金融監督庁が警告

この記事の要約

ドイツ連邦金融監督庁(BaFin)は9日、民間医療保険の販売に関して国内の業界各社に警告文書を送付したことを明らかにした。成約に際して保険会社が代理店に支払う手数料が高騰するとともに、他の医療保険からの顧客の引き抜き競争 […]

ドイツ連邦金融監督庁(BaFin)は9日、民間医療保険の販売に関して国内の業界各社に警告文書を送付したことを明らかにした。成約に際して保険会社が代理店に支払う手数料が高騰するとともに、他の医療保険からの顧客の引き抜き競争が過熱していることを問題視。今後は疑わしいケースが発覚した保険会社に対し特別調査を実施すると威嚇した。

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医療保険の成約手数料は月額保険料金に基づいて支払われる。BaFinによると、その額は1999年の平均7.5カ月分から2009年には同8.9カ月分へと上昇した。最近はマーケティングやITコストの名目で代理店への支払いが上乗せされるケースも少なくないようだ。これらのコストは最終的に被保険者が支払う保険料で賄われるため、被保険者の負担は膨らんでいる。

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こうした問題の背景には民間医療保険に加入できる市民が法令で年収4万9,500ユーロ以上の富裕層に限られ数が少ないため、顧客の獲得競争が激化しやすいという事情がある。保険会社が顧客を増やすには競合企業から奪い取るのが最も早道であり、解約の多発と代理店手数料の上昇につながっている。

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マスコミ報道によると、保険会社のなかにはこうした実情を憂慮するところも少なくない。だが、業界の自主規制という形で手数料の上限などを定めると、独禁法のカルテル規定に抵触するため、業界団体は保険市場規制当局のBaFinに対応を要請したという。

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ただ、BaFinにもこうした規制を導入する権限はない。このため、疑わしい保険会社に対し特別捜査を実施するという威嚇姿勢を見せることで、過熱した医療保険販売市場を鎮静化させたい考えだ。

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