スペインとフランスを結ぶ高圧送電網建設プロジェクトで電機大手の独シーメンスが変電所を受注した。同プロジェクトは両国国境のピレネー山中に全長64キロメートル、送電容量2,000メガワットの直流高圧(HVDC)地下ケーブルを敷設するというもので、シーメンスはスペイン、フランスの両国に変電所を整備する。メディア報道によると、受注規模はおよそ3億5,000万ユーロに上る。
\スペイン~フランス間の送電インフラは整備が遅れており、現在の送電容量は1,400メガワットに過ぎない。サハラ砂漠に太陽熱・風力発電所を建設し電力を欧州に供給する「Desertec」など、欧州とアフリカを結ぶ電力プロジェクトが進行するなか、重要な送電ルートとなるピレネー山脈のインフラ不足はプロジェクト全体に水を差しかねない。
\両国を結ぶ高圧送電インフラの整備が不可欠ということで関係者の意見は一致しているものの、ピレネーの環境破壊に反対する自然保護団体や、電磁波による健康被害を恐れる住民、フランスからの安価な電力の流入を恐れるスペイン当局などの利害が対立。計画は10年以上にわたって膠着状態が続いていた。
\こうした状況の打開に向け、スペインのエネルギー大手Red Electrica de Espana(REE)と仏送電網事業者RTEは、合弁会社を設立してHVDC地下ケーブルをピレネーに敷設することで合意。変電所の建設をシーメンス、ケーブル敷設を伊電線メーカーPrysmianに委託した。HVDCには交流送電よりも電力損失が少ないというメリットがある。
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