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2011/1/5

総合 - ドイツ経済ニュース

独企業のM&Aが活発化、経済危機を競争力向上に利用

この記事の要約

ドイツ企業がM&A(企業の合併・買収)活動を再び活発化させている。コンサルティング会社のM&A Internationalによると、独企業が関係したM&Aの総額は2010年に推定1,060億 […]

ドイツ企業がM&A(企業の合併・買収)活動を再び活発化させている。コンサルティング会社のM&A Internationalによると、独企業が関係したM&Aの総額は2010年に推定1,060億ユーロに達し、前年の790億ユーロから34%増加した。同社のパートナーへの取材などをもとに12月28日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。

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M&Aの件数自体は1,274件で、前年の1,249件から25件の増加にとどまった。増加率は2%と、M&A総額の同34%を大きく下回っており、1件当たりの取引額が大幅に増えたことが分かる。取引金額のトップ20件に限ると、前年比の拡大幅は90%に達するという。50億ユーロを超える巨大M&Aも2件あった。業種別では医薬品、機械、靴製造・販売関係でM&Aが多かった。

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2010年は企業が長期的な事業展開をにらんで行う戦略的な買収が目立ったのも特徴だ。例えば製薬・化学大手のメルクはライフサイエンス大手の米ミリポアを買収して事業分野を拡大。ソフト大手のSAPもデータベース大手のサイベースを獲得した。ドイツ鉄道(DB)は英アライバや伊Nordcargoを買収し、事業の国際化を加速した。

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一方、投資会社による買収は低調で、取引金額のトップ10に食い込んだのはスウェーデンのプライベート・エクイティEQTだけだった。銀行から買収資金の融資を受ける際の手間ひまが金融危機前に比べ大幅に増えたことが背景にあるという。

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M&A Internationalのパートナーは、ドイツ企業は経済危機を利用して他社買収を進め、国際競争力を強化したと指摘している。

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