連邦政府は今年(2011年)から、銀行に覆面調査員を派遣する。イルゼ・アイクナー連邦消費者保護相は『ハンデルスブラット』紙とのインタビューで、客になりすました覆面調査員を送りこみ、行員による金融商品アドバイスや手続きが適切かをチェックする方針を表明。連邦財務省も同日、覆面調査を統括する連邦金融監督庁(Bafin)は外部の覆面調査員(ミステリーショッパー)を投入すると発表した。
\政府が独自の覆面調査に乗り出す背景には、銀行の窓口相談に関する規定が昨年(2010年)から強化されたにもかかわらず、一部の銀行で依然としてサービスが不十分な実態が商品テスト財団(Stiftung Warentest:SW)の最新調査で明らかになったことがある。また、SWが「面が割れると今後の調査に支障が出る」として調査員の正体を一切公表していないことを受け、金融機関がSW調査の真偽に疑いをさしはさんでいることもある。
\ドイツの金融業界団体が加盟する金融中央委員会(ZKA)は、Bafinによる覆面調査自体は特に新しいものではないとして、政府の新方針の効果に疑問を投げかけた。これに対しアイクナー消費者保護相の広報担当官は、「Bafinのこれまでの調査では銀行が新たな規定に従って相談内容を文書化し顧客に渡しているかを確認しているにすぎない。これが顧客相談の質向上につながっていないことはSWの調査結果からも明らかだ」と反論し、一段と踏み込んだ調査の必要性を強調した。
\