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2011/1/5

ゲシェフトフューラーの豆知識

パート勤務への変更願い、拒否には正当な理由が必要

この記事の要約

共稼ぎ世帯が一般化したことを受けて、子供の育児や親の介護などでフルタイム勤務ができなくなる被用者が増えている。こうした場合、被用者は勤務時間の短縮を請求できる。これはパートタイム・有期雇用契約法(TzBfG)8条1項に明 […]

共稼ぎ世帯が一般化したことを受けて、子供の育児や親の介護などでフルタイム勤務ができなくなる被用者が増えている。こうした場合、被用者は勤務時間の短縮を請求できる。これはパートタイム・有期雇用契約法(TzBfG)8条1項に明記された権利である。

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では雇用主はこの請求にどこまで応じる義務があるのだろうか。今回はその線引きに関する問題をシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労働裁判所が12月15日に下した判決(3 SaGa 14/10)に即してお伝えする。

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裁判を起こしたのはズボンのすそ上げなどの洋服直しを行う企業に1999年からフルタイムで勤務してきた縫製職員。育児休暇の終了日(2010年12月16日)が近づいたため子供を終日預けられる保育先を確保しようとしたが、毎週火曜~木曜日の7~16時の時間帯しか預かってもらえないことになった。

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このため勤務期間を火~木曜日の9~14時半に変更したうえで職場に復帰することを10年9月29日付の文書で会社側に伝えた。これに対し雇用主はパートタイムを含むすべての社員に対し◇勤務時間帯を9~18時半ないし12時15分~19時30分のどちらかにすることを義務づけている◇12時15分~18時をコア勤務時間に設定している――と指摘。原告社員の要求はこの2つの要件をともに満たしていないとして受け入れを拒否した。

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原告はこれを不服として提訴した。第1審では提訴要件を満たしていないとして訴えを却下されたが、第2審のシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労裁は第1審の棄却決定は不適切だと指摘。そのうえで、雇用主には勤務規則の変更や代替要員の採用などを通して原告の要望を実現できないかを検討する義務があり、そうした検討を経ずに要望を却下したのは不当だとの判断を示した。

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