自動車大手の独Volkswagen(VW)は9日デトロイトで、中型車「Passat」の米国仕様車を初公開した。同モデルは米市場の開拓加速を狙った戦略車で、2018年までにトヨタを抜いて世界最大手メーカーになるという目標実現の重要な担い手の1つとみなされている。今年第1四半期から米国の新工場で生産する。
\米国南部のテネシー州チャタヌーガで生産する。米国市場向けのファミリー車で、欧州製のPassatよりやや大きいが、価格は2万ドル程度と欧州モデルを大幅に下回る。労働組合の影響力が届かない同国南部で生産することで人件費を抑制。低価格の実現にメドを付けた。販売開始は9月を予定している。
\VWは1978~88年の10年間、米国で乗用車を生産していたが、販売不振と品質問題を受けて工場を閉鎖した。現地販売はトヨタに大きく後れを取っており、2010年は姉妹ブランドAudiと合わせて36万台にとどまった。今年はこれを40万台に伸ばし、2018年には100万台の大台に乗せる計画だ。
\VWグループの2010年の世界販売台数は714万台で、前年から13.5%増加した。新興市場や米国で好調だった。今年も販売増を見込む。
\主力のVWブランドの2010年販売は13.9%増の450万台で、過去最高を更新した。「Touran」、「Sharan」、「Touareg」、Passatの新モデル販売が好調だった。主要国・地域の販売実績は中国(香港を含む)が35.5%増の151万台、米国が20.3%増の25万6,800台、ロシアが49.1%増の5万8,900台、インドが約11倍の3万300台。足元の欧州は市場が2.5%縮小したこともあり、1.2%減の155万台へと落ち込んだ。
\