自動車業界が好景気に沸いているにもかかわらず、自動車物流業界では厳しい状況が続いているもようだ。自動車大手ダイムラーが欧州の自動車運輸企業およそ200社を対象に実施したアンケートによると、2010年に赤字を計上した企業は60%に達し、黒字の同13%を大きく上回った。6日付『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』が報じた。
\業界企業の業績が振るわない背景には欧州の自動車メーカーが中国などでの現地生産を増やすとともに、アジアメーカーも欧州生産を拡大したことで、長距離輸送の需要が減ったという事情がある。
\欧州に輸入される車両が大きく減ったことも追い打ちをかけている。輸入車と輸出車の輸送量に大きな不均衡が生じ、輸入車輸送の積載率が大幅に低下しているためだ。独ブレーマーハーフェン港の自動車ターミナルで取り扱う輸出車と輸入車の比率は現在、4対1になっているという。
\輸入車は陸揚げ後に物流業者の手で組み立てられたり、輸送途中に生じた不具合が修理されるため、輸出車よりも利幅が大きく、輸入車の減少はその意味でも痛手となる。自動車物流大手の独Mosolfは昨年、利益を計上できなかった。独BLGグループの当該部門も同年の税引き前利益が08年の2,270万ユーロから420万ユーロへと縮小したもようだ。
\物流業者によると、メーカーの価格交渉力が強いため、輸送台数が増加しているにも関わらず、輸送料金の低下には歯止めがかかっていない。物流業者は稼働率改善に向け輸送能力を圧縮しており、近い将来、自動車輸送が滞る恐れもあるようだ。Mosolfは「今春にも混乱が発生する」とみている。
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