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2011/1/12

経済産業情報

廃棄電子機器は「宝の山」、アーバン・マイニングへの関心高まる

この記事の要約

中国がレアアースの輸出を大幅に制限するなど、資源獲得をめぐる国際競争が激化するなか、廃棄電子・電気機器のリサイクルを通してレアメタルやレアアースを獲得する「アーバン・マイニング」への関心が急速に高まっている。『南ドイツ新 […]

中国がレアアースの輸出を大幅に制限するなど、資源獲得をめぐる国際競争が激化するなか、廃棄電子・電気機器のリサイクルを通してレアメタルやレアアースを獲得する「アーバン・マイニング」への関心が急速に高まっている。『南ドイツ新聞』(SZ)によると廃棄された携帯電話に含まれる金は1台当たり約27ミリグラム、1トン当たりでは約300グラムに上り、金鉱石の含有量(1トン当たり約5グラム)に比べ「はるかに効率が高い」という。

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廃棄電気・電子機器を大規模にリサイクルできる設備を持つのはベルギーUmicore、独Aurubis、スウェーデンBolidenを含め世界で5社に過ぎない。金属リサイクルで世界最大手のUmicoreは金、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、ガリウム、インジウムを含む計18種類の金属をリサイクル。同社が回収するロジウムは年3.5トンに上り、世界総需要(25トン)14%をカバーしている。年内にはリチウム二次電池のリサイクル施設も稼働予定という。

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ただ、実際には全ての使用済み電子機器がリサイクルに回されるわけではない。独情報通信業界連盟(Bitkom)の試算よると、ドイツ国内で未回収のまま机の中などに眠っている携帯電話は7,200万台に上る。また、一般ごみとして捨てられ埋め立て地に放置されている家電も少なくない。

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リサイクルコストの負担を嫌った業者が途上国に違法輸出し現地で環境汚染を引き起こしているという問題もある。産業廃棄物業界団体はそうした違法処理は「ごく一部」と強調するが、リサイクル業者からは「廃棄家電の半分以上が違法に輸出されている」との批判も出ており、実態は明らかになっていない。リサイクル取引には多数の中間業者が介在しており、全体像が把握しづらいことが背景にある。

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このため、国や自治体はリサイクルを促進するとともに、リサイクルの流れを監視するシステムの早期構築を求められている。

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