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2011/1/19

総合 - ドイツ経済ニュース

食品価格重視の消費者が減少=ネスレ調査

この記事の要約

食品購入に際し価格を重視する消費者が急速に減少している。世論調査機関アレンスバッハが食品大手ネスレの委託でドイツの消費者4,000人を対象に実施したアンケート調査によると、「低価格が極めて重要だ」との回答は今年39%とな […]

食品購入に際し価格を重視する消費者が急速に減少している。世論調査機関アレンスバッハが食品大手ネスレの委託でドイツの消費者4,000人を対象に実施したアンケート調査によると、「低価格が極めて重要だ」との回答は今年39%となり、2009年の48%から9ポイントも低下した。景気回復で失業懸念が後退しているほか、「安いだけではだめだ」(ネスレ独法人のゲルハルト・ベルセンブリュッゲ社長)という意識が広がっていることが背景にある。食品メーカーは原料価格の高騰で利益を圧迫されており、消費者意識の変化は値上げのチャンスとなりそうだ。

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価格重視の消費者はすべての所得層で減少した。減少幅が最も大きいのは世帯収入(手取りベース)が月1,500ユーロ未満の低所得層で、64%から54%へと10ポイント下がった。月収1,500~2,500ユーロ未満の中所得層では52%から45%へと7ポイント、同2,500ユーロ以上の高額所得層でも35%から28%へと7ポイント低下している。価格に敏感にならざるを得ない低所得層で同比率が最も顕著に下がったことは消費者の意識が大きく変化していることをうかがわせる。

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『フランクフルター・アルゲマイネ』紙によると、値下げ競争の震源地であるディスカウントスーパー業界ではこの6カ月間、市販価格が安定的に推移している。アレンスバッハの調査担当者は「2010年秋以降、景気回復の恩恵を受けていると感じる消費者が増えている」と指摘しており、値下げで需要を掘り起こす必要性は低下しているもようだ。

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アレンスバッハの調査では、消費者の食習慣が大きく変化していることも分かった。仕事に追われている市民が増えていることが背景にあり、昼食に温かい料理を食べる市民は35%にとどまった。しっかりとした昼食をとれない人が増えたのに比例して、夕方などにスナックやクッキーといった軽食を食べる人が増加。また、朝食を自宅で食べず出勤途中に購入する就労者も多くなっているという。(グラフを参照)

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ドイツではここ数年、料理番組の人気が高まっている。平日に料理を作る時間のない市民が週末の趣味として台所に立つようになっていることが背景にあるようだ。

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規則正しい食生活を送れない人が増えた一方で、バランスの取れた栄養を摂取することが大切だと考える人も増えており、アンケートでは栄養のバランスを「重要」「とても重要」とする回答が09年の計63%から69%へと拡大した。市民の意識と実際の生活にズレがあることがうかがわれる。

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